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立原位貫 アルテビンクロ位貫

立原 位貫   Inuki Tachihara
 
25歳のとき、1枚の浮世絵に感銘を受け、ジャズのサックスプレーヤーから浮世絵復刻の世界に足を踏み入れる。

現存している江戸の浮世絵は時間の経過と共に退色していることを知り、摺たての生き生きとした江戸の色彩を甦らせるべく研究を開始。
 
絵具や道具、技法に至るまで独学で研究し、当時は分業だった絵、彫、摺も全て一人でこなした。
 
江戸の浮世絵を現代に甦らせた唯一の木版画家として、その業績は国内外から高く評価されている。

浮世絵復刻の技術を生かしたオリジナル版画も多数発表し、夢枕獏氏の小説の挿絵や、江國香織氏と書籍「竹取物語」なども出版する。


1951年 名古屋市昭和区に生まれる

1976年 浮世絵版画の制作、研究開始

2015年 死去


Arte Vinculo INUKI について…
  
木版画家・立原位貫のオフィスとして2010年に設立。
屋号の「アルテ・ビンクロ位貫」とは、スペイン語で
アルテ=芸術、美術
ビンクロ=絆、結ぶ
という意味で、立原の作品を通して人と感動が、また人と人が繋がるように願いを込めて名付けました。
 
 
 
 

立原は世に言う「作家」とは少し違うのかもしれない。
 
もとを辿れば、江戸時代と全く同じものを復刻したいという思いから始まった制作なので
自身の中にある何かを表現したいわけではなかったのである。
 
復刻の仕事を経て始めたオリジナルの作品作りにおいては、自身が研究した本来の日本の色や
素材を最大限に生かす実験の場のようなものだったのかもしれない。
 
そして、それらを使い「今」の一瞬を一枚の紙にとどめたかったのだと思う。
 
一枚の浮世絵の背景には素晴らしい技術を持った沢山の職人の姿がある。
 
そんな日本の職人の技術に今一度スポットを当てることも立原の願いだったのかもしれない。
 
 
 「日本の木版画は、美しい」
 
 
立原の作品が、遠く先の日本を照らす光になることを願って。
 
 
アルテ・ビンクロ位貫 代表 立原安位子